私の弟は小中学生の時に非常に学校の成績が良かった。
3つ年齢が違うので、私が中学を卒業すると同時に弟が同じ中学に入学した。
高校生になってから久しぶりに遊びに行ったその中学で、先生から「こんなに姉弟で出来が違うのもめずらしい」と言われたこともある。
のちに東大に合格する男の子と学年1,2位を争っていた。
しかし、家で学習している姿を1度も見たことはない。
定期テスト前などは、苦労しながら勉強している私を尻目に勉強もせずにパソコンに向かって何やらプログラムらしきものをいじっていた。
それなのにテスト結果は勉強した私の方が悪いのだから、イヤになる。
母の意向で近くの大学付属高校に入学した弟。
常に学年片手にいた。
そんな彼がめずらしく家で勉強していたのは、エスカレーターで進学する大学の学部決めのテストの前日だけだ。
単語をいくつかノートに書いていた。
初めての失敗はその学部決めのテスト。
入学後初めて学年20位近くまで落ちた。
希望の学部に入学できなかったせいか、大学の成績も良くはなかったようだ。
就職も思ったようにはいかなかった。
いわゆる「天才も二十歳過ぎればただの人」の言葉通りになってしまったのだ。
毎日コツコツと努力できる子にドンドン抜かされていった。
しかし、そうなっても、努力の仕方を知らない彼には成す術(すべ)がなかった。
相当な苦労があっただろうことは想像できる。
だから私は塾の生徒たちにも、自分の子供にも「毎日コツコツ」と努力することを求めてきたし、求める。
「毎日コツコツ」努力することにより得られるものは、今でも、大人になってからでも、必ず活きるから。