「定期テスト前学習道場」を塾で行うようになって数年目の、1学期中間テストでの出来事。
数週間前に入塾してきたばかりの中1の男の子に、英数理の3科目にしぼって道場を行った。
毎日がんばって学習していた。
テストが返却された。
その子の理科の得点は18点。
「えっ…」と得点を見て驚く私。
問題と返却された答案を付き合わせて確認した。
「なんでこの問いにこの答え???」と思いながら答案を見ていると、その子の答えになんだか見覚えがある。
ああ、塾で解いていたプリントの答えだ!
何とその子は塾で渡された暗記プリントの答えを、テストでそのまま上から順番に書いたのだ。
理科はもともと不得意でよく分からなかったので、答えだけを正確に順番に覚えたということだった。
後にも先にもあんな答案は見たことがない。
よく18点分も答えが合ったものだ。
考えることが苦手な子はこの子のように上から順番に答えを暗記しがちだ。
中には質問文と答えをセットで何も考えずに丸暗記する強者もいた。
普通はそこまで丸暗記できれば点につながるはずだが、言葉の意味も考えずに一言一句丸暗記しただけなので、問題が少しでも違うと答えられないのだ。
こういう子たちはそんな風に暗記できるだけでもすごいことなので、学習のしかたが変われば格段に伸びてくる。
前述の男の子も、卒業時にはお母さんと私で、その中1理科のエピソードで笑い合えるくらいにメキメキと力をつけ第一志望の高校に入学できている。
今日の学習道場で各々の課題に取り組んでいる生徒たちの後ろ姿を見ながら、そんな昔のことを思い出した。