1度覚えても、放っておいたら、その知識はいつのまにか忘れ去られる。
案外子供たちはこのことに気づいていない。
「覚えた=永遠に覚えている」と思っているように見える。
「あれっ、覚えたはずなのに…」という経験は小さい頃から何度もしたことがあるのに。
すぐに忘れるのが当たり前の人間の特性なのに、絶対に忘れない事柄がある。
「命に関わる」事柄だ。
生まれたての子猫や子犬はクルマの怖さを知らない。
だから平気で車道に出て行ってしまう。
しかし、一度でも死にそうな目(轢かれそうになる、轢かれる)に会うと、二度と車道には出なくなる。
命に関わることを忘れないのは、生存のために必要なことなのだから当たり前だ。
ところで、脳はけっこう単純にできていて、簡単にだまされやすい性質がある。
だから、激しい思い込みなどによって、脳をだますこともできる。
例えば、何か「やってしまった」事実があっても、「やってない、やってない」と長期間、激しく思い続ければ脳内では「やってない」ことになり、うそ発見器にも反応しなくなるのだ。
事実と、事実でないことの区別ができないということだ。
だから、命に関わらないことでも、「命に関わること」と脳をだませれば、物事を忘れなくなる。
そのためにはどうするか。
実は、それが単純に「繰り返す」ことなのだ。
何度も何度も繰り返し脳に上ってくる情報は、「これは大切な情報=命に関わることだ」と脳が勝手に認識してくれる。
「命に関わること」=「忘れない」ということになる。
だから覚えたい事柄はひんぱんに反復をすること。
毎日目で見て、口で言ってみて、手で書く。
そうすれば、「忘れることができない知識」が増えていくのだ。